大阪ビル放火殺人事件について多くの心療内科に携わっておられる方々がご心痛のことと思います。
事件以来、各方面から、ご心配や励ましの声をいただきましたが、あまりに突然の出来事で、考えるほどに言葉を失っていたというのが正直なところでした。
ですが、精神医療の第一線に携わる身として、同じような犯罪が起こらないようにすることが何より大切だと思い、現場からご返答を差し上げる事にいたしました。
まず、どのような理由があろうとも、他人に危害を加えたり、他人の命を奪ったり、という方法は、決して許されないことだと明記致します。
わたしのような相談を受ける職業は、相手のプライドを決して傷つけないように話し、
おかしなことを言ってもそれを”よし”として、相手を永遠に甘やかせておかなければならない時代になっています。
人のわがままを全て受け入れる人間関係が世界で構築され始めると、わがままな人間のペースで世の中が動いていく、ということになりはしないか、危惧しています。
この事件で、人の話を聞いて理解する職業の難しさを痛感しています。
学ぶべきものがあるとすれば、健全な社会生活が送れていない人たちの実態を、再度、調査必要があると思います。
孤立、仕事、家庭、基礎学力の不足などが考えられます。
その上で、クリニックの経営理念や組織の再点検を行います。
私どもに話を聞いてもらいたい人がいるという事実を謙虚に受け止め、その期待に応え、実践することがクリニックの役割だと思います。
上記が、私から、「励ましの声、ご心配の声をいただいた皆様」へのご返事になると思います。
お亡くなりになられた方々のご冥福を心よりお祈り申し上げます。