60歳から65歳のサラリーマンが、かかりやすい「定年後うつ病」について外来での観察を述べます。
まじめで、きちんと一つの職場を何十年も勤め上げてきた男性が多いように思います。
企業戦士型、仕事への取組みや姿勢、家族を養う・守るという倫理観について優れた能力を持つ方が多く、ひとつの人格の完成像だと思います。
他方で、趣味がなく、仕事が人生のすべて、職場での評価が自身への評価という方が多いように思います。
このようなタイプの男性が、60歳という理由で定年を迎えたとき、張りの無い生活に入っていかれます。仕事一筋だった我々 中高年(筆者を含めて)にとり、その宙ぶらりんで無重力な状態は、きっと虚脱感を生むのでしょう。それが定年後うつ の本体だと思います。
解決法として、定年を迎える5年~10年前から、現在の職場以外の複数の評価系に所属する事(地域の世話役や、親戚のまとめ役、趣味のサークルのお世話係をかってでる)等が、大切になってきます。
50代の忙しい最中でも、第2の人生の準備だけは開始しておくべきでしょう。