最近よく聞く、スマホ依存について、先生の外来ではどのような現象を観察されていますか?
「3分刻みの世界」という言葉をご存知でしょうか?
スマホのメールやLINEの着信音が原因で、頻繁に集中力が妨げられる現代社会をさす言葉です。
仕事や勉強をして熱が入ってきたときに着信音が鳴り、文章を読んだり返信したりする事で、気を取られてしまい作業効率が落ちてしまうんです。
その為、高度な専門技能が身につかない最大の理由になっています。
よくわかりますね。共感できる現象です。
職業上の高度な技術を磨くためには、長時間集中して打ち込む期間が必要になります。電子メールやスマホの着信音に妨げられているようではとても到達ができません。
更に、スマホやテレビドラマはもはや「副業」になっており、忙しさの大きな原因となっています。
実際、スマホを長時間やっている人って多いですよね。特にゲームとか。
そうなんです。
スマホは、便利なツールですが、いろいろな弊害が報告されています。
例えば、乱雑な部屋に居ると、スマホやテレビを見る時間が長くなります。その結果、「自分は不幸せだ」という感情を抱くようになることが報告されています。
この感情の行き着く先が「孤独感」なんです。
この現象は、この先まだ続くのでしょうか?
2020年代には、今よりもスマホやテレビを見る時間は世界的に増加すると考えられます。
既にスマホやテレビドラマがアルコールの代わりを果たしている可能性が高いです。
これが「スマホ依存」なんでしょうか?
はい。現実社会からの逃避行動・ストレス対処行動なんでしょうね。
スマホやテレビドラマを見すぎる人には何か特徴のようなものがあるんでしょうか?
最近よく言われるのが先ほども申し上げました、後片付けの出来ていない部屋にいつも居る人、モノを買うことで精神的満足感を得やすい人、人間関係よりもモノに投資することに熱心な人でしょうか。
いわゆる物質主義的な傾向の高い人でしょうね。
何か治療はあるのでしょうか?
私の外来では、整理整頓をお願いしています。
書類の山を片づけたり段ボールにモノをしまったり、目に見える形で居住空間がきれいになって行く作業をお勧めしています。
それはどういう意味があるのでしょうか?
長時間のスマホもテレビドラマも共通点は、受動的な時間の空費現象です。そんな諦めにも似た逃避行動を修正するには身近ですぐに出来る、片づけ作業が最も簡単で能動的な行動療法につながると思うんです。
実際にスマホの弊害を説明した上で、「整理整頓する」という行動療法を指導すると時間短縮への強力な意識付けに変わっていきます。
1月からNetFlixで配信されている「KONMARI」にも関係しそうですね。
イギリスの経済・心理学者、リンダ・グラットンさんの著書、「LIFE SHIFT」と「WORK SHIFT」の中に詳しく書かれており、引用して説明しています。