暑い盛りの帰宅中だった、駅前で見覚えのある大学生が
警察に両腕をはさまれながら
パトカーの後部座席に押し込まれる光景にでくわした。
「バカな」何があったかはわからないが、事件を起こして
現行犯で捕まったことは察しがついた。
瞬時に迷った。「その子はわたしの患者です!」と言いかけたが、
同時に、それは、もう2年も前のことだと自制心も働いた。
「もう主治医ではない。」
2年前に「別の病院にいきます」と連絡があったのが最後だった。
何度も、今に警察に捕まることは説明した。
わたしは気づいた時にストレートに言うようにしている。
そしてこの説明をした患者は何年経っても覚えているもので、
半数近くは、警察か生命保険会社から連絡がある。
だから、せめて、この1回で気付いて欲しい。
1回で気付いて止められる人は、最初から何もしない人より、
はるかに難しくて、偉いんだ。