最近は、妊婦さんのパニック障害や、めまい、偏頭痛の相談がよくあります。
ほとんどの方で、妊娠する前から太りたくないために、ダイエットをしたり、バランスの悪い食事だったり、タバコを吸ったり、お酒を飲んだりして、栄養状態が悪いことが観察されます。 これをそのまま妊娠中も改善しないでいると、生まれてくる赤ちゃんの健康状態も悪くなることが考えられます。
胎児の臓器は妊娠3ヶ月でほぼ出来上がり、7ヶ月目には完成します。 しかし脳細胞の完成は満期のころに終わります。 その間、タンパク質を十分に摂取し、血液をつくるための鉄、ビタミンB12、葉酸が必要となります。
また妊娠中には、骨形成のために母体から胎児へ30gのカルシウムが移行し、母乳へは1日あたり230mgのカルシウムが分泌されるために、母体にはカルシウムを補給する必要があります。 さらに、脳の細胞分裂や増殖が盛んな胎児や新生児では亜鉛の必要量が高まるので、十分に補う必要があります。 特に、亜鉛不足は、乳児湿疹やアトピーの原因にもなります。 またタン白質をよく摂取し、貧血もない妊婦には、むくみが観察されません。 わが国では妊婦の貧血は普通ですが、特に栄養状態の悪い、貧血のひどい妊婦ほど「つわり」がひどくなる傾向があります。
このように女性が、妊娠前から栄養摂取に気をつけ、妊娠中もビタミンやヘム鉄などの栄養素を摂取し、貧血の無い状態で出産すると、生まれる赤ちゃんの体格がよくなり、育てやすくなることが知られています。 このような赤ちゃんを、ビタミン・ベビーと呼び、次のような特徴があります。
・赤ちゃんがしっかりした体つきをしている
・夜泣きしないで良く寝る
・母親の栄養がよく母乳がよく出る
・精神的に落ち着いている
・赤ちゃんの肌がきれい
・免疫がしっかりし、病気しにくい
・表情が豊か
・のちの「IQ」が高い
・子供が落ち着いており母親の精神も安定しており、育児が楽しめる
妊娠前や妊娠中の栄養状態は、血液検査で十分にその状態を知ることが出来ます。
妊娠中の栄養を知りたい方や、今後、妊娠の可能性のある女性から相談をいただくことで、一人でも多くの健康な赤ちゃんが生まれることを願っています。