今年もあと20日たらずで終わりだ。
この1年をふりかえり、最も気になったのは借金の相談だった。
意外と多かったと思う。相談というよりは、心療内科だから、督促に追われて眠れない、
家族や職場にバレそうだ、どう考えても返せない、そういうたぐいの悩みになる。
焦りや、不安、不眠をどうにかしてほしいという相談だ。
あるいは、どうしてよいかわからないという相談もある。何人かの方には弁護士を紹介した。自己破産や任意整理という言葉にも慣れてきた。
診断名は「浪費癖」となるのだろうか。借金癖の前提には、ショッピング、カードローン、
ギャンブル(パチンコが7割)が圧倒的に多い。
買い物の内容は、というとたいしたことない。多いのは、車・矯正下着・高級布団・和服・
ブランドバッグ・宝石・洋服と続く。
女性の場合は、概して身綺麗でおしゃれ、同じ服を二度は着て来ない、目をじっとみつめて話す魅力的な人柄を感じさせる場合も多い、だから悪印象は持たれない。
男性の場合は、一口に言えない、パチンコの場合は身だしなみが悪くなる傾向がある。
外来で理屈にあわない症状を患者が訴えるとき、借金と異性問題はかならず想起するようにしている。いや、想起してあげるべきだ。早く気づいてあげるべきだから。
なめてはいけない、金額は70万円や80万円ではない、250万、一千万、パチンコでは五千万という相談規模なのだ。それが、2年に一回、5年に一回、10年に一回と繰り返される。 だんだん増えるのも特徴だ、親が返済すると “またやる”。大人の発達障害の診断と治療にわたしがこだわる理由はここにもある。
帰宅時に冬空を見上げながら、彼らはどうしているのかと思う。家族は食べているのだろうか。子どもは、部屋は暖かいのだろうか。