学校には大きく2つの機能があり、そのひとつが集団適応力を養う場で、
もうひとつは学力を伸ばす場です。
しかし現実に学校では学力優先の傾向がたかく、親にも子どもにも“良い学校”志向が
根強く、我が子の集団適応力に関しては、学力以上の関心を寄せる親御さんは
さほど多くないのが実情ではないでしょうか。
ですが、わたしの外来でみるかぎり、学校を出て職場でものをいうのは、
“集団適応能力”に尽きます、この力が十分に養われていないと、新しい就職先で異質に感じられてしまいがちで、低い能力として扱われるか、疎外され自分のほうから職場を離れてしまうことになりがちです。
実は、この現象は有名進学校から大学に進み、無事就職した青年にもしばしば見られます、
だとすると、この進路設計は、どこかで何かが間違っていたといえます。
周囲の大人が良く観察さえしていれば、子どもの社会にでてからの困難を予測してあげることはできるものです。遅くとも14~15歳の頃には、親にも教師にもその子の特性は、はっきり見えているはずだから。
この子のために大人として何ができるかを考えたうえで進路に結びつけてあげる。
そうすると、ただ有名校や進学校にこだわるよりも、集団適応力を先につけてあげるほうが
遥かに大切なことも見えてくるはずです。
それが結果として将来、円満に職場が長続きする秘訣につながっているのです。