人には、どんなときでも最低限、選択肢が保障されることが必要です。 わたしのこころの医療は、 患者さんに選択肢の提案があることが、このクリニックの開設理念です。
厚生労働省の人口動態統計調査によると、平成19年度の日本人の3人に1人は、ガンで死亡していると報告されています。 現代の総合病院で標準的に受けられるガンの治療方法は、大きく3つ (1)抗ガン剤治療 (2)放射線治療 (3) 手術 がありますが、どの治療法にもそれぞれ限界があり、患者さんの、こころと体への負担は大きく、本人はもとより、家族も巻き込んだ、不安と心配の高い闘病生活を余技なくされます。
特に、抗ガン剤の副作用は深刻で、それまで元気だった患者の、こころと体をしだいに弱らせていきます。 同時に、一緒に過ごす家族の心情も想像を超えるものがあり、患者が天寿をまっとうしたあとでも、長く、家族のこころの傷になることがあります。
わたしは、留学時代の栄養指導の影響をうけ、この数年は、毎月上京して分子整合栄養医学を学んでいますが、特にこの2年間は、高濃度ビタミンC点滴療法を、外来の患者さんの不眠や食欲低下、うつ、ストレスなどのこころの医療に取り入れてきました。
昔のわたしは、最新の、あるいは、よく治る治療法を学んではいても、患者さんの経済状況や家族の事情などを考えるあまり、その治療提案をすることは、ほとんどありませんでした。 しかし、結果として、そのことが原因で回復が遅れ、余分な治療費がかかったと思われる患者さんが次第にでてくることに気づいていました。
その後、あることがきかっけで、患者さんに対しては、治療を受ける、受けない、精神科の薬を使う、使わないを含めて、最終的には本人が選択できるように、主体はあくまで彼らであるように常に選択肢の提案だけはするようになりました。
現代の優れたガン治療にも限界はあります。 そのとき高濃度ビタミンC点滴療法は、抗ガン剤や放射線治療の副作用を軽減し、患者のもつ不眠や不安、心配などの精神的なストレスを和らげてくれ、生活の質をあげることができます。 しかもビタミンC点滴には、ほとんど副作用がないので、それまで治療と副作用のはざまで苦しんできた患者さんや家族の安心にも結びつきやすいのです。
総合病院で標準的なガン治療を受けながら、私たちのような、小さなこころのクリニックで、高濃度ビタミンC療法を併用することで、少なくとも患者さんが元気で動ける状態を少しでも長くすることに、こころの医療がお役にたてはしないかと考えています。