未診断のまま成人したアスペルガー症の女性をタイプ分類すると、大きく2つに分けられるように観察します。 1つは (1)生涯独身タイプ、もう1つは (2)育児困難タイプ です。
(1)については、その特性から対人距離が遠いため、必然的に独身が多くなるのでしょう。
(2)については、 正常発達の女性では育児にさほどの困難はともなわないものですが、アスペルガー症をもつ女性では、大学院卒、医師、教師など高学歴の女性を含めてしばしば育児困難を訴えます。 具体的には、自分の生んだ子どもとの対面座に苦痛を感じており、『子どもが何が言いたいかわからない』、『赤ちゃんに表情を返せない』、『応えられない』 と述べます。
また細部へのこだわりから、時間厳守・母乳への強いこだわり・出産準備ができない・間に合わない・マニュアルが必要と続きます。
“そうしなくては気が済まない” こだわりがあるため慢性的に育児困難感を抱えており、そのために虐待行動にでてしまうケースもあります。
母親の対人関係困難は、どうしても育児困難に結びつきがちですので、育児スキルのトレーニングが大切になってきます。