前回のブログでは、未診断のまま学校に行き、未診断のまま成人したアスペルガー症のことをお話ししました。
これら大人のアスペルガー症の患者さんのお話を聞いていると、幼児期の言語発達はむしろ良好で、必ずしも悪くはない、対人希求もさほど薄くはなく、小学校時代は往々にして、
成績はトップクラスで応援団長や生徒会の役員もしていると言います。
ですが共通しているのは、その後、高校1年生までには学校適応に失敗しているということです。つまり幼児期~小学校低学年までの言語発達や成績の良さは、必ずしも、思春期~青年期以降の社会適応とは関係しないのです。
特に進路の選定の際に、その特性が露骨に目立つようになり、大分なのに北海道の大学や牧場に行きたがったり、現実とかけ離れた志望校や職業など、他の人と同じようにできない特性が明瞭に見えてきます。
時に成功する場合もあるのですが、多くの子どもさんは対人関係でつまづいて維持することが困難になるため、一旦失敗すると、新しいことを始めるのにとても強い抵抗を示すようになり、何でもないことをひどく怖がるようになります。
ですが、そんな彼らも、いずれ回復モードに入ると、自分が外からどう見えるのか、具体的な助言を求めるようになってきます。
そのときこそ、わたしたち大人が彼らを暖かく包んであげる必要があるのです。