中学生~高校生の症例を数多く経験していくなかで、子どもたちと同じ症状を訴える大人のケースに出会うことがしばしばでてきます。
アスペルガー症状群(高機能広汎性発達障害)は、3歳までにその発達上の特性が観察されることが診断基準の1つですが、私のように中学生~青年の集団不適応を専門に診ていると、“小学校低学年まで特別に変わったことはありませんでした” と言う子どもたちの中から、成長するにしたがい、アスペルガー症の特性である、こだわりの強さや社会性の乏しさを次第に表出していくケースを経験するようになります。
つまり3歳までの発達には異常が認められず、小学校低学年までは普通か、むしろ良い子であった成人アスペルガー症候群をよく見出します。
このような若者や大人では、小学校の高学年くらいから集団適応しようとする際に、
アスペルガー症に独特の状況認知を開始しています。
目立つのは、どうしても繰り返し考えてしまうこだわりや、固執、過敏性と呼ばれる過敏性腸炎や薬剤過敏反応、そして何よりも “そうしないと気が済まない” とらわれです。
こういうことを放置しておくと、次第に周囲との間で誤解が生じがちになり、小さなトラブルも多くなって、落ち着いた人間関係の維持が困難になっていきます。
その結果、自尊感情が下がり自分の納得のいく空想や一人きりの世界に逃避してしまい、
不登校やひきもり、パニック、出社恐怖へと進展していきます。
これについては従来から離職や失職、虐待、離婚など家庭不和の原因ですが、近年は貧困の原因に変化していますので、早めに苦痛を和らげ周囲とうまくやっていくコツを身に着けましょう。