昨日、ご紹介いたしました、おしっこで “がん” をまとめてスクリーニング出来る検査、
ジアセチルスペルミン (Diacetylspermin) のことを、今日は詳しく説明します。
ヒトの体内には4種類のポリアミンがあり、モノ(mono)体とジアセチル(diacetyl)体が、
それぞれ2種類存在します。(ギリシャ語で「mono」は「1」を、「di-」は「2」を意味します)
さて、がんを持たれる患者さんにおいて、尿中ポリアミンの排泄量が増加することは、1971年Russelによって報告されました。 しかし、ヒトの体内にある4種類のポリアミン値を同時に測定すると、悪性腫瘍も悪性腫瘍以外の炎症性疾患 (心筋梗塞、肝硬変、創傷治癒過程)も、ともに尿中ポリアミン排泄量が増加し、腫瘍マーカーのスクリーニング検査としてはまだまだ不十分でした。
しかし最近になり、がんを持つ患者さんの体内では、ジアセチル体ポリアミンがモノ体ポリアミンと比べて有為に高いことがわかり、腫瘍マーカーとして注目され始めたのです。
特に、尿中のジアセチルスペルミンは、他の腫瘍マーカーよりも早期に変動するために、
鋭敏ながん細胞の活動性マーカーとして用いられています。
尿中ジアセチルスペルミンは、抗がん剤や高濃度ビタミンC点滴療法で、がんを治療中の患者さんにマーカーとして用いると、一般的な腫瘍マーカーや画像診断より、がんの増悪をより早く察知可能など利点があることもわかってきました。 そのことが新聞に紹介され、進行ガンを持つ患者さんの70~88%、粘膜や大腸の壁にとどまっている早期ガンの60%で確認できたというわけです。