精神科の外来では、初診から2回目くらいで診断名を伝えることが多いと思います。
そのときに、自分の経験年数とか、過去のデータとか症状分析とか、いろいろお伝えしながら、「どうしてその診断に行きついたのか?」ご説明するのですが、大体の方が、事前にご自身でネットとか雑誌で調べてあたりを付けてきた病名と「違った」と言われます。
これは、人間の持つ思い込みの良い例で、いくら自分で掘り下げても、診断はつかないのです。多くの方は、自分の考える原因とストーリーで病気を考えています。
ですが、実際に専門家が診断するときは患者さんの述べる原因や物語にあまり左右されることはなく、目の前の対象の佇まい・しゃべり方・選ぶ言葉・所作・繰り返しなどをこれまでの臨床経験と照らし合わせながら診断する事を案外ご存じないと思います。
そういう事から、自分の思っていたストーリーに基づく「自分病名」と専門医の告げる「診断名」には違いがあり、やはり専門家の受診をしておく事にはメリットがあると思います。