視座を高めるという言葉は、個人や職場が成長するために重要な姿勢として使われます。
個別の問題や、局所的な視点から離れ、より高い視点から全体像を見渡す「大局観」を養うことに役立ちます。
特に、歴史の本は、視座を高める考え方を提供してくれます。
精神科医の私のおすすめは、吉村昭の作品で、
トラウマの克服に適しているのは、漂流ものの「アメリカ彦蔵」。
この本は、アイオワ大学の日本語学科のテキストにも使われており(2000年当時)江戸時代に四国の漁師が嵐で船が難破し漂流して、鳥島、そして、米国にたどりつき再び日本に戻ってくる物語です。
島での仲間たちの生き様や、米国に到着して適応できた日本人とそうでない人との違いが鮮やかに描かれています。
「海の史劇」は日露戦争の日本海海戦で東郷平八郎率いる連合艦隊とロジェスト・ウエンスキー率いるロシアのバルチック艦隊の息を飲む心理戦が描かれており、戦う前に海戦の勝敗がついていたことに、驚きます。
歴史書を読むことで、自分の視野が狭かったことに気づき、どんなときも極端な反応を抑えて、長期的な視点をもつことの大切さを教えてくれます。
「視座を高める」という点では、現代の心の悩みの回復にもきっと役立つと思います。