遺伝子には、父親由来か母親由来かによって、異なる発現パターンを示す現象があり、「遺伝子刷り込み」と言われています。
胎児期と授乳期の母体の緊張や不安感はそのまま、胎内環境となりストレスとなって、特定の遺伝子の発現に影響を与えます。
例えば、その遺伝子が、情動調節の発達に関わるものでしたら、胎児は将来、人を信頼したり、集団に溶け込むことが困難になり、適応障害からPTSDを来たしやすくなると考えられます。
このような胎児期・授乳期の不安定な愛着反応が原因で、本人自身では気づけない、治せない、対人関係の障害をもつ外来の患者様が、見つかるようになってきました。
このような患者様には、ご自身の中に、胎児期のお母さまの不安がカプセルになって入っていて、不意な環境刺激でカプセルが「パカン!」と割れることがあることを説明しています。そのときの割れ具合を予め想定しておくことは、意味があるのかなと思っています。
この治療感覚は、遺伝医学と臨床精神医学の進歩によるものですが、遺伝⇒発達が記憶の再現性も左右していることを基礎にしています。